本記事では広告代理店について主に種類や職種・仕事内容などを紹介できればと思います。
また実際に私自身も広告代理店で働いているため、よりリアルな仕事内容や年収、やりがいやきついことなどもお伝えできればと思います。
広告代理店とは
まず最初に広告代理店の概要について解説します。
広告代理店とは名前の通り、クライアントの広告活動を代理で行う仕事になります。
TVCMやイベント企画、新聞など皆さんがイメージしやすいものはごく一部で、web広告や音声広告など広告手法は多岐にわたります。
それらの中から、クライアントの商品やサービスの認知度や売上を上げるために何が最適かを考え、提案し、実行するのが主な広告代理店の仕事内容になります。
ビジネスモデルは下記になっており、大きく分けると①クライアント(広告主)②広告代理店③メディアの3つで構成されており、広告代理店がクライアント(広告主)から受注した広告予算の一部を手数料(マージン)として収益化するモデルが一般的です。
※固定報酬や成果報酬型も一部あります
▼広告代理店のビジネスモデル
広告代理店の種類
広告代理店は大きく総合広告代理店、専門広告代理店、ハウスエージェンシーの3つに分けられます。
それぞれの特徴を解説していきます。
総合広告代理店
総合広告代理店は、テレビCMや新聞広告といったマスメディア広告から、デジタル広告、イベント企画、PR活動まで、幅広い広告手法を一括して提供できるのが特徴です。
クライアントの課題や目的に応じて、広告戦略の企画立案、メディア選定、クリエイティブ制作、運用管理、効果測定といった一連の業務をサポートを行うのが総合広告代理店になります。
【代表的な総合広告代理店】
株式会社電通、株式会社博報堂、ADKホールディングス、株式会社大広
専門広告代理店
専門広告代理店は、特定の広告手法やメディア、業界に特化してサービスを提供する広告代理店です。
たとえば、デジタル広告を専門とする代理店ではリスティング広告やSNS広告の運用に強みを持ち、特定業界向けの代理店では医療、飲食、不動産などの分野に特化したマーケティング支援を行います。
特徴として、特定分野における高度な知識とノウハウを有しており、クライアントの課題を的確に捉えた最適な施策を提案できる点が挙げられます。
ただ、取り扱う領域が限定されているため、複数の広告手法を組み合わせた包括的な支援を求める場合には、別の代理店やサービスとの併用が必要になることもあります。
【代表的な専門広告代理店】
株式会社サイバーエージェント、株式会社オプト、株式会社セプテーニ、D.Aコンソーシアム株式会社
ハウスエージェンシー
ハウスエージェンシーは、特定の企業やグループ専属の広告代理店です。
親会社や関連企業専属で広告・マーケティング業務を担い、その企業のブランドや商品を深く理解したうえで広告戦略を立案・実行できます。
特徴として、親会社の事業や業界に精通しており、親会社との連携が密接なため、スピーディーな意思決定や調整が行える点も大きな強みです。
一方で、取引先が限定されているため、総合広告代理店や専門広告代理店に比べて市場全体の動向への対応力や新しい広告手法の導入が遅れやすいといった課題もあります。
【代表的なハウスエージェンシー】
株式会社ジェイアール東日本企画、株式会社東急エージェンシー、株式会社デルフィス(トヨタ自動車)
広告代理店の職種と仕事内容
広告代理店の中でも職種は多岐にわたり、それぞれ役割や仕事内容は異なります。
大きく下記4つに分けて解説します。
営業
広告代理店の営業職は、アカウントプランナーと呼ばれることもあり、役割としては大きく「新規案件獲得」と「プロジェクト管理」の2つになります。
新規案件獲得と受注後のプロジェクト管理の営業部署が分かれている企業も多いです。
受注後はクライアントとの窓口として、プロジェクト全体をマネジメントする役割を担います。
クライアントの課題をヒアリングし、最適な広告戦略を提案することが主な仕事で、案件の進行管理から、社内のクリエイティブやメディア、マーケティングチームとの調整まで、多岐にわたる業務をこなします。
営業職の特徴は、人間関係構築のスキルと提案力が求められる点です。
クライアントの信頼を得るために、広告の知識だけでなく、業界動向や消費者のトレンドへの理解も重要です。
予算交渉やスケジュール管理など、プロジェクト全体の成功に責任を持つポジションであり、プレッシャーが大きい反面、達成感のある仕事です。
広告代理店の顔とも言える職種で、多くの業界と関わることで成長の機会も豊富です。
【営業】
◆主な仕事内容
「新規案件獲得とプロジェクト管理」
◆求められるスキル
人間関係構築スキル、提案力、プロジェクト管理能力
クリエイティブ
クリエイティブ職は、広告のアイデアやビジュアル、メッセージを形にする役割を担うポジションです。
具体的には、テレビCMやポスター、バナー、動画などの広告素材を企画・制作します。
主な職種には、コピーライター(キャッチフレーズや広告文の作成)、アートディレクター(デザインの方向性を指揮)、デザイナー(具体的なビジュアル作成)があります。
特徴として、高い発想力と表現力が求められる点が挙げられます。
クリエイティブ職は、広告の成功を左右する重要なポジションであり、視覚的・感情的なインパクトを与えることで、ブランドや商品の魅力を最大限に引き出す役割を果たします。
直近では動画やSNS市場が拡大していることもあり、需要が高まっている職種の1つです。
【クリエイティブ】
◆主な仕事内容
「広告のアイデアやビジュアル、メッセージを形にする」
◆求められるスキル
高い発想力と表現力
マーケティング
マーケティング職は、データ分析や戦略立案を担当するポジションです。
クライアントの商品やサービスをターゲットに届けるために、市場調査、消費者分析、競合調査を行い、効果的な広告戦略を設計します。
主な業務には、KPI(重要業績評価指標)の設定、キャンペーンの効果測定、デジタル広告の運用分析などが含まれます。
特徴として、論理的思考力と分析力が求められる一方で、データだけではなく、ターゲットの心理を理解する感性も必要です。
特にデジタル広告の分野では、Google AnalyticsやSNSの広告運用ツールを活用するケースが多く、データ活用スキルが重要視されます。
マーケティング職は、広告の根幹となる戦略を作り上げる役割を果たし、クライアントの課題を解決するための重要な意思決定に関与する職種です。
【マーケティング】
◆主な仕事内容
「市場調査、消費者分析、競合調査を行い、効果的な広告戦略を設計」
◆求められるスキル
論理的思考力と分析力
メディア
メディア職は、広告を効果的に届けるための媒体選定や広告枠の購入、運用を担当する役割です。
クライアントのターゲット層や広告の目的に応じて、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌といったマスメディアから、インターネット広告、SNS広告、屋外広告などのデジタル・リアル両方の媒体をプランニングします。
主な業務には、メディアプランニング(どの媒体でいつ広告を出すかを設計)、広告枠のバイイング(購入)、掲載後の効果測定が含まれます。
特徴として、交渉力や調整力が重要です。
メディア企業との関係構築やクライアントの要望とのバランスを取るため、柔軟なコミュニケーション能力が求められます。また、デジタル広告分野では、広告配信のアルゴリズムやトラッキングツールの理解も重要です。
メディア職は、メディアの特性を活かしながら、最適な広告配信を設計するプロフェッショナルです。
【メディア】
◆主な仕事内容
「広告を効果的に届けるための媒体選定や広告枠の購入、運用」
◆求められるスキル
交渉力や調整力
広告代理店の年収
WEBマーケターの平均年収は517万円でビジネスパーソン全体の平均年収は414万円、一般的なビジネスパーソンより約100万円高いです!
※参考:doda平均年収ランキング
Webマーケティングの重要性が増す中で、優れたWebマーケターの需要も高まっており、この市場の需要の高まりは、業界全体での給与水準の上昇を促進しており、経験豊富なマーケターに高い年収を提供する企業が増えています。
▼インターネット広告媒体費総額
出典:【2023年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析】
また、Webマーケティングの分野でのキャリアパスは多岐にわたります。
Webマーケターとしての経験を積むと、フリーランスやコンサルタントとして働く選択肢もあり、自分の専門知識やスキルを生かして複数のクライアントと契約し、プロジェクト単位で高い報酬を得ることも可能です。
▼フリーランスマーケターの平均年収
※参照:PR TIMES
広告代理店の良い点と厳しい点
最後に実際に私が働いていて思う広告代理店のやりがいと厳しさをご紹介します。
良い点①:市場価値が上がる
業界自体の市場が伸びていて、かつ比較的年齢層は低いため新卒1年目からチャレンジできる機会はとても多いと思います。
その分、成長スピードが早く、できることもかなり増えました。
転職市場だけではなく、副業市場でも需要はあるため、キャリアパスが多岐にわたり、自分のやりたいことの選択肢を増やせられることは魅力的に感じています。
良い点②:影響力がある
広告代理店はクライアント企業の広告活動を代理する役割をになっています。
広告=売上に直結するケースも多いため、広告成果が良いとお客さんの事業成長にも繋がります。
またTVCMなど日頃の生活の中で自分の仕事が世の中に反映されているのを見るとやりがいを感じます!
厳しさ①:ハードワーク
時期などにもよりますが、忙しい時期だと終電ごろまで働くこともありました…
特にweb広告代理店だとベンチャーや中小企業になるほど1人あたりの業務領域は幅広く、残業時間も長い印象です。
ただ、私の場合、ベンチャーweb広告代理店→大手広告代理店に転職し、ベンチャー時代は40~60時間ほどありましたが、転職後の残業時間は20時間ほどになったので企業や規模感によっても異なってくると思います。
まとめ
今回は広告代理店について紹介しました。
インハウス化している企業も少しずつ増えてきていますが、完全インハウス化している企業は少なく、市場の拡大に伴い、今後も広告代理店の需要は高まってくると思います。
一概に広告代理店と言っても種類によって業務内容や取り扱っている媒体・メディアも異なるので今回の記事が参考になればうれしいです。