本記事では運用型広告の主軸、”リスティング広告”について解説します。
リスティング広告とは
媒体の種類
リスティング広告とは、検索エンジンの検索結果ページに表示される広告です。
メジャーな媒体が「Google」や「Yahoo!」で直近ではMicrosoftのBingの広告運用も増えてきてます。
日本における検索エンジンのシェアは、2024年4月時点で、Googleが約80%、Yahoo!が約10%、bingが約8%になります。
PCだけの場合、Googleが約75%、Yahoo!が約7%、bingが約16%とYahoo!よりもbing面の利用割合が多く、BtoB向けの商材で広告展開する場合は、bingの攻略も重要になってきます。
(参考:Statcounter Global Stats)
掲載イメージ(SEOとの違い)
広告やスポンサーと記載のある箇所がリスティング広告になります。
広告と記載のない箇所が自然検索(SEO)で表示されているものになります。
掲載フォーマット
※Google検索画面より
リスティング広告は、下記6つの要素から構成されています。
広告表示オプションは設定していても表示されない場合もあります。
▼リスティング広告の構成要素
①ビジネスのロゴ
②ビジネスの名前 ※Googleのみ
③リンク先のURL
④広告見出し
⑤説明文
⑥広告表示オプション
広告見出しや説明文は設定できる文字数や記号などがあるため、各媒体の公式サイトからご確認ください。
特徴や仕組み
ここからはリスティング広告の仕組みを解説していきます。
リスティング広告の費用や掲載位置がどのように決まるのか見ていきましょう。
課金方式
リスティング広告は広告がクリックされるたびに費用が発生するクリック課金制で運用されています。
広告が表示されるだけでは費用は発生しません
掲載順位の決まり方
リスティング広告は、検索結果に掲載する広告をオークション形式で決定しています。
リスティング広告が表示されるまでのフローを簡単に表すと、以下のとおりです。
具体的には以下のポイントが重要です。
・入札価格(上限CPC)の設定
広告主は、「広告を出稿したいキーワード」に対して、「1クリックあたり上限いくらまで払うか」を事前に決めて設定します。
入札単価を設定することで、オークションが行われます。
・オークションの結果で掲載順位が決まる
ユーザーがキーワードで検索をするたびにオークションが発生し、掲載される広告や掲載順位は常に変動します。
検索順位は「広告ランク」で決まります。
掲載順位が上位の方がCTR(クリック率)は高くなりやすいため、「広告ランク」を上げることはリスティング広告を運用する上で重要な指標になります。
広告の品質については次の課金方式で合わせて解説します。
広告ランクとは
先ほど少し解説しましたが、リスティング広告は「広告ランク」で掲載順位が決まります。
広告ランクとは「入札価格」と「品質スコア」によって算出されます。
広告ランク = 入札価格 × 品質スコア + 広告表示オプション
品質スコアとは
品質スコアとは検索ユーザーにとって適切な広告かどうかを評価する指標でキーワードごとに10段階で評価されます。
品質スコアは主に3つの要素で構成されています。
1.推定クリック率
特定のキーワードで表示された広告がクリックされる可能性の高さを測る指標です。
推定クリック率が高いほど、ユーザーの検索意図に沿った広告を表示できていると評価され、品質スコアが向上します。
2.広告の関連性
広告文がユーザーの検索クエリにどれだけ一致しているかを測る指標です
適切なキーワードを含む広告文を作成することで、関連性を高めることができます
3.ランディングページの品質
広告の遷移先のページとキーワードや広告文との親和性、ユーザーの利便性が良いかどうかを測る指標です。
ページの読み込み速度、モバイルフレンドリーさ、コンテンツの関連性が含まれます。
- ページ速度の最適化
- ページの読み込み速度が速いと、ユーザー体験が向上し、品質スコアも高くなります。
- 画像の最適化、キャッシュの活用、不要なスクリプトの削除などが有効です。
- モバイルフレンドリー
- モバイルデバイスからのアクセスに対して最適化されたデザインは、ユーザーエクスペリエンスを向上させ、品質スコアの向上に寄与します。
- レスポンシブデザインやAMP(Accelerated Mobile Pages)の活用が推奨されます。
- コンテンツの関連性
- ランディングページのコンテンツが、広告で使用したキーワードや広告文と一致していることが重要です。
- これにより、ユーザーが求めている情報を提供でき、ページの滞在時間も向上します。
品質スコアを上げることで下記、表の例でもわかるように、入札価格が低くても品質スコアが高ければオークションに勝利でき、上位表示することができます。
また品質スコアとSEO(検索エンジン最適化)は密接に関連しています。
SEOの原則を活用してランディングページを最適化することで、品質スコアの向上に寄与し、広告全体のパフォーマンスを向上させましょう。
品質スコアの向上はリスティング広告攻略の重要なカギだよ!
SEOとも密接しているのでしっかり対策していこう
アカウント構造
次にリスティング広告のアカウント構造について紹介します。
全体の構造としては下記になってます。
それぞれの役割は下記です。
- アカウント
- 広告を管理する、階層の最上位。
- 支払い方法や、管理者情報を管理。
- キャンペーン
- 広告アカウントの1つ下の階層。
- 予算や地域、開始日・終了日の設定ができ、広告グループをまとめる役割。
- 広告グループ
- キャンペーンの1つ下の階層
- 入札単価を設定でき、広告グループは共通のテーマやキーワードを持つ広告をまとめて管理
- 例えば、スポーツ用品のキャンペーン内で「ランニングシューズ」や「トレーニングウェア」などの広告グループを作成し、それぞれに適したキーワードと広告を設定できます。
- キーワード
- 広告が表示されるためのキーワードを設定します。
- キーワードはユーザーが検索する際に入力するフレーズです
- 広告
- ユーザーに表示される広告文やリンク先のページ
メリット・デメリット
ここまで読んだらリスティング広告の概要は理解できたと思うよ!
次はメリット・デメリットを理解していこう
リスティング広告は自社の商品やサービスを効果的に宣伝するために活用されています。
しかし、リスティング広告には多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。
この章では、リスティング広告のメリットとデメリットをわかりやすく紹介します。
メリット
顕在層にアプローチできる
リスティング広告を経由したユーザーは、自身でキーワードを入力して流入しているため、興味関心が高く、一定以上のニーズを持っています。
そのため、購入や申込みなどにつながりやすい傾向があります。
例えば、プロテインを扱っているECサイトの場合、「プロテイン」や「プロテイン 通販」といったキーワードで検索されるユーザーは、既に顕在層であり、商品購入につながることが多いです。
低予算から広告出稿できる
リスティング広告は最低出稿金額が設定されていません。
数百円単位からでも始めることができ、クリックされた回数に応じて費用が発生します。
広告がクリックされなければ、費用は発生しません。
また、マス広告と比較して、クリック課金の特性上、少ない予算でも効率的に広告を出稿できる点が大きな強みです。
検索結果の上位表示ができる
リスティング広告は検索結果の上部に表示されるため、オーガニック検索で1位表示されているサイトよりもさらに上に表示されます。
ユーザーの目に入りやすく、高い集客効果を見込めます。
即効性があり、いつでも開始・停止できる
リスティング広告は、早くて出稿したその日から広告を配信することができます。
例えば、季節限定の商品やセールキャンペーンなど、即時的な反応が必要な場合にリスティング広告を活用することで、迅速な集客が見込めます。
また、リスティング広告は、いつでも開始・停止ができる柔軟性があります。
例えば、特定のキャンペーン期間中だけ広告を出したい場合や、在庫切れなどの理由で一時的に広告を停止したい場合に便利です。
予算の調整もリアルタイムで行えるため、広告の効果を見ながら調整可能です!
デメリット
キーワードによってはクリック単価が高い
リスティング広告は多くの企業で利用されている広告手法の1つです。
そのため、特定のキーワードに対する競合が激しい場合、クリック単価が高くなり、予算を効率的に使えないことがあります。
競合他社との入札合戦になることで、広告の掲載順位を維持するために高額な入札が必要になることがあります。
潜在層への訴求には向かない
リスティング広告は特定のキーワードを検索する意欲の高いユーザーに対して効果を発揮しますが、それ以外のユーザーへのアプローチは難しいです。
広告配信の目的が認知拡大やブランディングである場合には、リスティング広告以外の広告も視野に入れる必要があります。
ビジュアル面での訴求が難しい
リスティング広告はテキストベースの広告であり、ビジュアル要素で訴求することが難しいです(厳密には画像表示オプションでビジュアル訴求できますが、必ず表示されるものではない)。
商品の外観や魅力を伝えるのが難しいため、視覚的な訴求が求められる場合にはバナーや動画広告など別の手法も検討した方が良いでしょう!
継続的に運用コスト(費用や人的リソース)が掛かる
リスティング広告の最後のデメリットは運用コストの継続的な発生です。
広告費用に加えて、キャンペーンの管理には専門知識とスキルが求められます。
効果的な広告運用には、日々のキーワード調整や入札管理、広告効果のモニタリングといった作業が不可欠です。
これらのタスクは専任のスタッフを必要とする場合が多く、人的リソースの確保が企業の負担となることがあります。
リスティング広告の始めかた
いざリスティング広告を始めたいと思ったさいの主な流れは下記になります。
- アカウント作成作成
- 配信条件の設定(広告やキーワードなど)
- 広告審査
- 配信開始
▼Googleアカウント作成手順
- https://goo.gle/30ngDdZ にアクセスして、右上の[今すぐ開始]をクリック
- Google 広告で使用されたい Googleアカウントでログイン
- 画面中央右の青い文字[エキスパートモードに切り替える]をクリック
- 画面左下の青い文字[キャンペーンなしでアカウントを作成]をクリック
- 請求先住所の国、タイムゾーン、通貨を選択して [送信]をクリック
- アカウントの作成完了画面が表示されます
※参照:Google広告
▼Yahoo!アカウント作成手順
- Yahoo!広告の公式サイトにアクセスします。
- 「広告のお申し込み」ボタンをクリックして申し込み情報を入力します。
- 規約に同意し、確認コードを入力します。
- 運用ツールを選択し、確認メールを受信して利用を開始します
運用時のポイント・よくある質問
最後にリスティング広告を運用する際のポイントと私が実際に広告代理店で働いている時に広告主さんからよく質問を頂く内容を紹介します。
広告ランクを高める
途中でも紹介しましたが掲載順位は広告ランクで決定します。
その中でも、広告ランクの指標の1つである品質スコアを上げることは重要です。
入札価格が低くても品質スコアが高ければオークションに勝利でき、上位表示することができます。
定期的なKW追加・除外
リスティング広告の成功には、キーワードの管理が不可欠です。
検索クエリは多様で、日々変化しているため、定期的なキーワードの追加は、これらの新しい検索クエリに対応するために必要です。
また一方で、関連性の低いKWやパフォーマンスの低いキーワードを定期的に削除することで無駄コストの削減や広告の品質スコア向上にも繋がります。
SEO(自然検索)上位表示できているのにリスティング広告の配信は必要か
よくお客様から「自然検索で上位表示されているのに、広告配信する必要あるの」という質問を受けますが、結論、配信した方が良いと思います。
自然検索が上位表示されていれば、そちらで流入できるし、広告はお金がかかるから不要なのでは、と考える方も少なくありません。
実際にお客さんの要望に応えて広告停止した時もありましたが、広告で流入していたユーザーがそのまま自然検索経由で流入せず、全体での流入数減少、CV減少の影響が出ました。
・広告で上位掲載されている他企業に流れ、機会損失に繋がる
・広告、自然検索両方で上位表示することで、検索結果画面の占有率を高めて、
という観点で指名KW(自社名や自社サービス)で自然検索に上位表示されていたとしてもリスティング広告は配信するべきだと思います。
さいごに
この記事では、リスティング広告の仕組みから運用方法、メリット・デメリット、相性の良いジャンルなどを解説しました。
リスティング広告は、実際の検索KWに対して広告表示ができ、購入や申込みにつながりやすいため有効な手段です。
リスティング広告成功のために運用体制を整えていきましょう。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました!!
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